私も佑くんも大好きな番組、Eテレ「にほんごであそぼ」の視聴レポート。
その日の見どころを取り上げます。
秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず
能面
えいと君とさくちゃんが、能面のイラストと共に「秘すれば花なり」と全身で表現します。
この能面、女面の代表作「小面」より、もう少し年かさに見えてしまいます。
しいて言うならば、下記の「増女」に近いような。
増女 Zohonna
気高く神聖なイメージの女性。増阿彌が創出した女面。 年は少し上。憂いを含み引き締まった顔立ち。天女や神女の類に使用。
使用曲目:『熊野』『江口』
イラストの能面の瞳が左右に動きますが、わずかな動きで喜怒哀楽を表す能面の特徴をよく出していると思います。
風姿花伝
『風姿花伝』は、世阿弥が記した全七編から成る能の理論書で、
この一節は 「第七、別紙口伝」(芸の魅力・舞台効果の本質についての考察)の書き出しです。
一、秘する花を知ること。秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずとなり。この分目を知ること、肝要の花な り。そもそも、一切のこと、諸道芸において、その家々に秘事と申すは、秘することにおいて大用かるがゆゑなり。 しかれば、秘事といふことを現はせば、させることにてもなきものなり。これを、させることにてもなしといふ人 は、いまだ秘事といふことの大用知らぬがゆゑなり。まづ、この花の口伝におきても、ただ、珍しき、花ぞと、み な人知るならば、さては、めづらしきことあるべしと、思ひ設けたらん見物衆の前にては、たとひめづらしきこと をするとも、見手の心にめづらしき感はあるべからず。見る人のため、花ぞとも知らでこそ、しての花にはなるべ けれ。されば、見る人は、ただ思ひのほかに、おもしろき上手とばかり見て、これは、花ぞとも知らぬが、しての 花なり。さるほどに、人の心に思ひもよらぬ感を催すてだて、これ花なり・・・
萬斎さんが苦労して開けた箱からは、きれいな花がたくさん飛び出してきました。
嬉しそうにその中から花束を取り出してはみたものの、くしゃみ一発であっという間に枯れてしまいます。
一方、男の子が開けた箱の中は箱、その箱の中はまた箱・・・・と、きりなく続きます。
さて、どちらが観客・視聴者の興味を引き付けるか?という趣向でした。
「花」の解釈は人それぞれ、私たちも自分の中にある「花」を大事にしていきましょうか。
絵合わせ百人一首 三条右大臣(25番)
名にし負(お)はば 逢坂山(あふさかやま)の さねかづら
人に知られで くるよしもがな
三条右大臣(25番) 『後撰集』恋・701
意味】
逢坂山のさねかずらが、逢って寝るという名を持っているならば、それは手繰れば来るように、人に知られないで貴方と遭う方法があれば良いのに。
【解説】
”名にし負はば”:名を持っているならば。
”逢坂山”:現在の京都と滋賀の境にある山。
”さねかづら”:モクレン科の常緑の蔓状をなす低木。
”しられで”:知られないで。
”来る”:かづらの縁語「繰る」と掛けている。恋人にさねかずらを贈る際に添えた歌です。
作者は三条右大臣で、藤原定方(ふじわらのさだかた)として知られます。平安時代の歌人・貴族で、藤原朝忠(44番歌)の父です。
9月3日放送の清少納言の歌にも「逢坂の関」がでてきましたね。
夜をこめて 鳥の空音(そらね)は 謀(はか)るとも
よに逢坂(あふさか)の 関は許(ゆる)さじ
清少納言(62番) 『後拾遺集』雑・940
逢坂山の「さねかずら」のフォト
男性の歌のほうが、しっとりというか、じめっというか、まぁ慕う側なわけですし無理もないかな。
May this small seed sprout in your field.
See you.